「会長!! これはどういうことですか!!」
ノックもせずに、大きな音を立てながら会長室に入ってきたのは……。
「お……兄さん」
驚きすぎたせいなのか、安堵したせいなのか――思わずそう呼びかけてしまった。
目の前には、私がいることを知らなかったのか、目が合った瞬間、目を大きく見開いたお兄さんの姿があったんだ。
「美青……ちゃん? どうしてここに?」
事態がつかめないでいるお兄さんのその問いかけに答えたのは、会長だった。
「私が呼んだんだ。……丁度良かった。宮崎君、君の意見も聞かせてくれ」
「意見、とは?」
「君が今持っているその書類にある通り、佐々木さんにはワールドカップのサポートメンバーから外れてもらおうと思っている」
「……え?」
サポートメンバーから……外れる?
話の内容を呑み込めないまま、お兄さんに視線を向けると、彼は手元の資料をクシャリと握りしめ、下を向いた。
ここまで頑張ってきたのに。
何も手は抜かず、必死になって……。
それなのに、どうして?
ただひたすらに、悔しさの感情だけが沸き上がる。
悔しくて悔しくて、涙を堪える私のすぐ隣から、
「会長も、佐々木さんの仕事ぶりをきちんと見ていたはずです」
お兄さんの、静かな声が響いた。
「……」
それに聞き入るように黙り込み、何かを探るように会長が黙り込むと、お兄さんは話を続ける。
「佐々木さんは、本当によくやってくれています。どれだけ私たちが助かっているか、会長だってご存じでしょう?」
「……あぁ」
「それに会長は、遠征中、二人と長時間一緒に過ごしていたのに、佐々木さんと航太の関係に全く気付かなかった。他のスタッフもそうです」
「……」
「それが十分な答えになっているのではないでしょうか?」

