俺の目をじっと見たまま、しばらく考え込んだ多田さんが、ゆっくりと口を開く。
「それは誰に聞いたの?」
「え?」
「いや、誰に聞いたんだろうなぁと思って」
「えっと……佐々木さんが」
期待とは違う多田さんの質問返しに、歯切れ悪くそう答えた。
すると、一瞬驚いたように目を大きくした多田さん。
「え?……違うんですか?」
何だろう……。
心臓が、まるで何かを知らせようとしているかのようにドクドクと大きな音を立てる。
「……」
「多田さん?」
「美青が、」
長い沈黙のあと、やっと口を開いた多田さんだったけど。
「美青がそう言ってるなら、そうなのかもな」
その答えは、まったく意味がわからなかった。
……何だよそれ。
中途半端な答えに、歯がゆさだけが残る。
「美青が君にきちんと話をしていないのであれば、俺から話すわけにいかないだろ?」
急に真剣な表情になった多田さんは、少しだけ苛立ちを募らせる俺に、静かにそう告げた後、
「少なくとも、俺は美青を大事に思ってる」
ゆっくりと、そう言葉を続けたんだ。
“大事に思ってる”
その一言に、胸がギリギリと痛む。
俺だって、ずっと美青だけを見てきたのに――……。
「宮崎君」
「……」
多田さんは相変わらず落ち着いた口調のまま、俺にゆっくりと話しかける。
「君は、美青が好きなの?」
「――……っ」
突然触れられた核心に、俺は息を呑んだ。

