きせき


部屋に入り、航太を一旦ベッドに座らせようと少し屈み込んだ。

その瞬間、倒れ込むようにドサッとベッドに倒れ込んだ航太は、苦しそうに眉間に皺を寄せ、荒い呼吸をくり返す。

「……航太?」

呼びかけても反応しない。

おもむろにその額に手を伸ばし、汗で貼りついた前髪を横に流す。

額に手を当てると、

「あつい……」

明らかに異常な熱さが、手のひらから伝わってくる。

「とにかく冷やさなきゃ」

私は立ち上がり、一度部屋を出て、取ってきた製氷機の氷を水を張った洗面器に落とす。

そしておでこの上に、その氷水で濡らしたタオルを置いた。

「はぁ……」

それが気持ちよかったのか、大きく息を吐き出した航太が、ゆっくりと瞳を開いて私を見つめた。

「航太?」

「……」

声をかけても、航太はぼんやりと視線を合わせたまま、返事をしなくて。

「そうだ、薬……!」

カバンの中に風邪薬が入っているのを思い出して、慌てて立ち上がった私の腕を、

「美……青――……」

航太がグッと掴んだ。

「航太、薬取ってくるから」

そう言った私に、溜め息を吐きながら、苦しそうに首を横に振る。

「薬、いらないから」

「……でも」

「薬……飲めない……」

それだけを口にすると、目を閉じて、苦しそうに息を吐き出した。