きせき


どうすればいいんだろう……。どうすればいいんだろう……。

どうにかしたいのに、どうすればいいのかがわからない。

立ち尽くす私がもう一度航太に声をかけようとした、次の瞬間、

「航太っ!!」

グラリと崩れるようにその身体が揺れて、そのまま壁に手を付いた彼は、

「くっそ……」

小さくそう呟き、再びその場にしゃがみ込んだ。

「航太、大丈夫!?」
「……」

慌てて駆け寄った私の問いかけに、ついに何も答えなくなった航太は、下を向いたまま苦しそうな呼吸を繰り返すだけで。

どうしよう。
こういう時って、どうしたらいいの?

「……」

混乱する頭を何とか落ち着かせ、少し考えた後、ゆっくり航太に話しかけた。

「航太、少し待ってて。今、宮崎さんに連絡入れるから……」

そう言って立ち上がり、その場を離れようとした。

離れようとしたんだけど……。

ドクン。

私の手首を、体温の高い航太の手が強く掴んだ。

「こう……た?」
「……」

苦しそうに短い呼吸を繰り返す航太の瞳が、ゆっくりと私に向けられる。

「兄貴には言うな。てか……誰にも言わないで」

「え?」

「平気だから」

「なに言ってるの?……大丈夫なわけないじゃん!! 早く誰かに来てもらわないと……っ」

「頼むから」

「……っ」

私の手首を掴んだままの航太の瞳は私を捉えたまま、まるで催眠術にでもかけるように、私の動きを簡単に封じてしまう。

「このままちょっと休んで……落ち着いたら、部屋……戻るし」

「……」

「美青……“佐々木さん”は、部屋戻って」

そう言って、私の手をそっと離した。

「……」

役立たずの私は、やっぱり言葉に詰まったまま何も言えなくなって、その場に立ち尽くす。

そんな私を見上げた航太は、片方の眉を下げて……

「そんな心配そうな顔すんなよ」

フッと笑ったんだ。