「何も言えなかった」
下を向いたまま自嘲的な笑いを浮かべて、私はポツリと呟いた。
「自業自得だもん……。航太のこと騙した罰かな? ホント、嫌になる」
帰国した私は、どうしてもひとりではいられずに、あけちゃんに連絡を入れた。
一生懸命堪えようとしたのに、どうしても涙が止まらなくて、ただ事ではないと悟ったあけちゃんは、すぐに自分の部屋に私を招いてくれた。
「美青……」
心配そうに私を覗き込むあけちゃんをよそに、私は抱えた膝に顔を埋める。
「あんなにも私のことを想ってくれてた航太を、私はずっと騙してた。あの時だけじゃなくて、再会してからも」
「……」
「本当のことなんか言えない。だって、全部が嘘なんだもん」
何も言わず、ゆっくりと私の背中をさするあけちゃんの手の温もりに、また涙が零れた。
つけっぱなしのテレビからは、数日経った今でも、日本の――航太の活躍を伝えるニュースが流れ続けている。
何度も、何度も、
航太のゴールの瞬間がリピートされて……。
この前まで近くにいた航太が、こんなにも遠くに感じるのは、きっと航太の気持ちがもう私に向かないと解ってしまったから。
「航太、遠いなぁ」
そう呟いたまま、もう何も言えなくなってしまった。

