きせき


お兄さんと正樹が仕事の話をしている間、私も正樹の写真を横から覗き込んでいた。

昔は風景ばっかり撮ってたのに、今私の手元にあるのは、必死にボールを追うみんなの姿。

「……」

撮るものは変わっても、正樹の写真はやっぱりどこか温かみがあるんだ。

それが何だか嬉しくて、懐かしくて。

緩んだ頬のまま、パラパラとそれを眺めていた私の手が――……

一枚の写真で止まった。

……航太。

多分簡易のプリンタでプリントアウトされたのであろう、その写真には、真っ直ぐ前を向いて、ディフェンダーをドリブルで抜く航太の姿が写っていた。

「……っ」

その表情なのか、空気なのか。

私の胸はギューッと音を立てて軋み、思わずその写真の航太に手を触れる。

「――……ちゃん! 美青ちゃん!!」

「は……いっ!!」

航太の写真に気を取られていた私に、お兄さんに声をかけられてハッとした。

「すみません。……何か?」

「いや、もう話し終わったから戻ろうと思うんだけど」

「あ、はい。じゃー私も」

だけど、そう言って席を立とうとした私のその動きを遮ったのは、

「宮崎さん。俺、ちょっと美青と話したいことあるんで、先戻っててもらえますか?」

他でもない、正樹だった。

……え?

話しって?

「わかった。じゃー、先戻るよ」

戸惑う私をチラリと見たお兄さんは、少し笑って、そのまま談話室から出て行った。

別に救いを求めるワケではないけど……。

お兄さんの背中を不安な気持ちのまま見送る私に、ゆっくりと声がかけられる。

「美青、久しぶり」

「う……ん」

視線を上げた私の前には、穏やかに笑う正樹がいて。

「髪伸びたな」

「……」

まるであの頃と同じように話をする彼に戸惑う私を見て、困ったように笑った。