「さっき連絡があって、明日の朝一で合流して、そのままグラウンドに顔出すって言ってたから、夕方にでも紹介するよ」
そう言ったお兄さんに、曖昧な返事をして、私は電話を切った。
「……正樹?」
一瞬考え込んだけど、そんなワケがないと頭を振る。
“多田”という苗字の人が、日本にどれだけいるのかなんて知らない。
だけど、そんなに多くはないであろう“タダ マサキ”という名前と、“カメラ”という共通点。
受話器を置いたまま動かすこともできずにいた手の平には、知らぬ間に汗をかいていた。
「まさか……ね」
まさか、そんなはずがない。
「どうせ明日になればわかることだし、もう寝ないと」
時計に視線を落とせば、もう0時を過ぎていて。
これ以上考えたところで、解決しそうにもないこの疑問を振り払うように、私は天井に向かって大きく息を吐き出すと、そのままベッドに潜り込んで瞳を閉じたんだ。

