きせき



試合が終了して、引き上げていく選手達に大きな拍手が贈られ、興奮冷めやらぬ観客からはまた大きな“宮崎コール”が起こっていた。

あの人は……一体、何者?

選手を見送り、ざわつきながら帰宅し始める人々を、相変わらずボーっと眺めながら、宮崎航太の正体について考えてみたものの。

当然、分かるはずもなく。

「むー……」

出るのは溜め息と、怪しい唸り声ばかり。

「はぁー」

何故か溜め息は止まらずに。

ついには、考えることを放棄した。

だって、考えても仕方がないし!
分かるワケもないし!!

スーツの兄さん曰く、試合が終わったら宮崎航太がここに来るらしいから、待っていれば……。

「……」

ん?
宮崎航太が、来る?

こ、ここに!?

なんだろう? 何でだろう!?

朝までは、全然平気だったのに、何でこんなにドキドキしてるんだろう。

意味がわからない。

ドキドキする意味が、全然わからない。

そもそも私は、ただジャージを返しに来ただけだし!!

そうだよ。

何も、ドキドキする必要なんかないのに……。

「……」

ないはずなのに。