きせき

練習が終わって、全員でホテルに戻る。

練習中はサッカーに集中してるせいで思い出さないのに、ホテルに戻った途端、美青のことを思い出した。

美青は基本的にグラウンドに出てくることはほとんどなくて、一緒に現地に来ているとはいえ、一緒に行動する時間はあまり長くない。


だから、ホテルの中で一緒になる時間が、唯一の美青との時間。

まぁ、ホテル内では他の奴らの視線があるから、話したりは出来そうにもないけどな。

しかも――……。

「……」

美青の隣には、なぜかいつも兄貴の姿。

夕飯の時間の今だって、隣にいるしなっ!!

美青のことが好きじゃないとか言ったけど、もうそういう問題じゃねぇだろ。

わかってるけど、イラッとするのは仕方がないことで……。

そんな俺に追い打ちをかけるように、隣で飯を食う稜が、バカみたいにその口を開いた。

「航太ぁ~」

「あ?」

「なぁ、美青ちゃんってさぁ……」

「――“美青ちゃん”?」

「うん。あの旅行会社の」

「……」

「あれ? 航太?」

「……んだよ」

「何か怒ってる?」

「怒ってねぇし」

「だよね。俺まだ何も言ってないもんねー」

いや、怒ってるけどな。

つーか、イラッとしてるけどな。

“美青ちゃん”だと?

何でお前が美青のことを“美青ちゃん”なんて呼んでんだよ!!