“宮崎君”
「――……っ」
今まで美青の口から聞いたことがなかったその言葉に、思わず息を呑む。
それはまるで、“もう昔のように関わるつもりはない”そう告げているようで……。
――俺は、何を期待していた?
美月さんの言葉を疑いながらも真に受けて、“もしかしたら美青は本当にまだ自分を好きでいてくれるんじゃないか”なんて、自惚れていた?
また昔みたいに戻れるんじゃないかなんて――……
バカげたことを、本気で思っていた?
美青の表情を見つめたまま、俺は何も言えなくなって、その場に立ち尽くした。
「ごめんなさい。私、またすぐに仕事に戻らないといけなくて」
「……」
「私もできる限りバックアップしますから、何でも言ってくださいね、遠征頑張りましょう」
美青はそのまま、また同じような笑顔を俺に向け、“それじゃー……”と、足早に会場から出て行った。
俺はただ、美青に触れた自分の手を握りしめることしかできなくて。
痛む胸を誤魔化すように、湧き上がった感情を遮断するように、ゆっくりと瞳を閉じた。

