きせき

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会議が終わって、ざわつく会場の中。

視線の先には、もう俺の方を見向きもせずに出て行こうとする美青と、その隣を歩く兄貴の姿があった。

何なんだよ――……。

本当に、それはほとんど無意識の行動だった。

「待てよ」

気付いたら、俺は美青の傍まで歩み寄って、その腕を掴んでいて……。

驚いた顔をして振り返った美青の瞳に、俺が映る。

「美青」

「……」

久しぶりに口にしたその言葉に、胸の辺りが熱くなる。

だけど美青は、俺から視線を逸らして何も言わない。

なんで……何も言わないんだよ。

込み上げた熱が、スーッと冷えていく。

「航太」

しかも、何も言わない美青の隣から聞こえたのは、静かに俺の名前を呼ぶ兄貴の声で。

「航太、やめろ」

「……っ」

何で、兄貴なんだ?

自分でも大人げないっていうのはわかってるんだ。

だけど――……。

俺達の様子に何人かが気付いて、少しだけその周辺がざわつくのを感じた。

ここじゃダメだ……。

「美青、少し話がしたいんだけど」

俺の方を一向に見る気配のない美青に、できるだけ静かにそう話しかける。

それなのに、

「航太、いい加減にしろ。美青ちゃんは仕事中だ。それに……美青ちゃんの立場も考えろ」

答えたのはやっぱり兄貴で。

思わず兄貴を睨みつけた瞬間、兄貴を見上げた美青の瞳が、ゆっくりと俺に向けられた。

「宮崎さん、大丈夫ですから」

「……」

「宮崎君、久しぶりだね」

昔とは全く違う、“外向けの笑顔”で……美青は俺に、そんな言葉をかけたんだ。