きせき


兄貴が帰った後も、モヤモヤした気持ちは拭いきれず、俺はベッドに横になったまま、眠れずにいた。

明日は試合があるし、眠らないといけないのに……。

さっきから、兄貴の言葉がグルグルと頭の中を廻る。

“昔の事で美青ちゃんを憎むような気持ちがあるなら、美青ちゃんには関わらないでやって欲しい”

憎む気持ちは、もうない。

でも今のこの気持ちが、何と呼ばれるものなのか……。

それが俺には、わからないんだ。

“好き”なのか、

“好きだった”なのか。

「あー……わかんねぇーよ、んなもん」

情けない声を上げて天井を見上げた俺は、しばらく美青との事を思い返していた。

もう忘れ去ったと思っていた記憶は、意外と残っていたらしくて。

一つの記憶をきっかけに、いくつもいくつも連鎖して、それが一気に溢れ出す。

胸がざわつくのに、どこか心地いい、その不思議な感覚。

それに身を委ねて瞳を閉じると、ゆっくりと眠気に襲われて。

眠りに着く瞬間、ふわりと、美青の懐かしい香りがした気がした――……。