きせき


「これ――……」

「まだ極秘だけどな。特別見せてやるよ。俺とお前の秘密だぞ~」

相変わらずふざけた兄貴に目を向けることもなく、俺はその書面に釘付けになった。

「俺……入ってんだけど」

「おー、入ってるなぁ」

「これ、本物? 兄貴のいたずら?」

なんだか信じられなくて、思わず兄貴を疑う。

「おい!! 俺はこんな手の込んだイタズラしねぇよ、めんどくせー!!」

「……」

「よかったな」

――嬉しすぎて、言葉が出ない。

まだあくまで“候補”だけど、ここに入らないと、出場のチャンスさえないんだ。

「振るい落とされないように頑張れよ~」

自分のことのように嬉しそうに笑って、人の頭をグリグリと撫で回した兄貴を見ていたら、少しだけど、やっとそれが現実味を帯びてくる。

――だけど。

「で……だ、」

「あ?」

それまでの笑顔をスッと引っ込め、急に真面目な顔をしてソファーに座り直した兄貴は、

「ちょっとこっち来て座れよ」

自分の斜め前にあるソファーを指差した。

「……なんだよ、急に真面目な顔して」

大人しくソファーに腰をおろすと、兄貴は考え込んだまま上目遣いで俺の顔を覗き込んで、ゆっくりとその重い口を開いたんだ。

「お前、美青ちゃんのこと……どう思ってる?」

「……え?」

兄貴の口から、久々に発せられた“美青”という言葉に、心臓が大きく反応した。

「航太」

まるで急かすように、もう一度俺の名前を呼ぶ。