「ふー……」
練習後、家に帰った俺は、身体をほぐすためにぬるめの風呂に浸かるのが日課になっていた。
最近は自主トレのおかげか、身体が信じられないほど軽く動いて、また昔のようにサッカーを心から楽しめるようになってきている。
――自主トレを再開して、一年弱。
あの日、あの河原で美月さんに会ってから、もう一年近くも経つのか――……。
美月さんに渡された、あの小さな紙切れは、未だ開かれることなくテーブルの引き出しにしまわれたまま。
何度も、美青に連絡を取りたい衝動に駆られた。
でもあの頃より、サッカーも含めていろんなものが欠けてしまった俺を、一度離れた美青が受け入れてくれるとは思えなかった。
それに何より、本当にあの男と付き合っていないという確信もないし。
美月さんはあー言ってたけど、正直なところ、本人達にしかわからない感情ってあると思うし……。
美青への気持ちを再確認してしまった俺は、彼女との接点を強めることで、それを目の当たりにするのが嫌だったんだ。
「マジで女々しいなぁ……俺」
ポツリと呟いたその小さな声は、思いのほか大きくバスルームに響き渡った。

