きせき


頭が真っ白になって、頭のてっぺんからつま先に向かって、身体がどんどん冷たくなっていくのが自分でもわかった。

「再来月、この選手たちと監督、ここにいる数名のチームで数日間アルゼンチンに渡り、強化合宿、および練習試合を行う」

「……」

「宿泊地等に関しては、今から佐々木さんと打ち合わせをするから、決まり次第随時連絡。……何か質問がある者は?」

そう言った会長の言葉は聞こえているのに、うまく頭が働かない。

仕事中なんだから、しっかりしないと……。

冷たくなった手を額にあて、とにかく小さく呼吸を繰り返して、頭に酸素を送る。

――動揺するな。

だって、見られてる。

私の少し後方から感じる、宮崎さんの視線。

「それじゃー、佐々木さん。このままちょっとここに残ってもらってもいいかな?」

「あ……、はい!」

会長の言葉にハッとして、慌てて返事をした私。

その私の耳に届いたのは、私をますます動揺させる一言だった。

「それと、宮崎君も」

「……」

今日は、厄日に違いない。

「はい」

まるで何事もないかのように、冷静にそう返事をするお兄さんの方が、よっぽど仕事に私情を挟んでいなくて。

大きく動揺する自分が、少し恥ずかしくなった。