「はぁ、泣いた泣いた」
「“泣いた泣いた”ってあんた……」
しばらく泣き続けた私の目の前で、あけちゃんはちょっと呆れたような、淋しそうな笑みを浮かべる。
「うん! スッキリしたっ!!」
「……ホントに?」
「だいぶねー」
「……それなら良かったけど。あんたさぁ、もうちょっと自分の感情を外に出した方がいいよ」
「……」
「てか、自分を大事にした方がいいよ」
「どーいう意味?」
「いつでも相手のことばっかり考えてさ。航太君の時だって、あの男の事だって」
「……」
あけちゃんのその言葉の意味がいまいち把握しきれない私は、ただジッとその言葉の続きを待った。
「あいつが、美青にどれだけ酷いことしたか忘れたの?」
「お兄さん……宮崎さんだって、あんなことしたくなかったのに、板挟みだったんだよ。……って、私もさっき怒鳴っちゃったけど」
さっきの喫茶店での自分の行動を思い出して、声が尻すぼみに小さくなる。
「それっ!! 何でそこであの男の肩を持つの!?」
「だって、」
「“だって”じゃないよ!! そんなんだと、あんたまた嫌な思いするかもしれないよ?」
「……」
「美青が苦しんでるのを見てるこっちだって、辛いんだから!!」
あけちゃん。
あけちゃんだって、人のこと言えないよ。
「ごめんね、いっつも心配ばっかりかけちゃって。あけちゃんこのままじゃハゲちゃうね」
「ホントだよっ!!」
それを特に否定もしなかった、もしかしたらもうハゲてきているのかもしれない、心配性のあけちゃんは、
「とにかく、美青はもう十分悲しんだんだから、今後は自分の気持ちを最優先に考えること!!」
そう鼻息荒く口にして、まるで睨みつけるように私の目を真っ直ぐに見つめたんだ。

