きせき


結局行き着いた先は、私の住んでいるマンション。

「どうぞー」

温かい紅茶を入れ、二人テーブルに向き合って座った。

カップを口元まで運ぶと、その白い湯気が泣いた目に沁みる。

「美青?」

「うん」

「さっきの話、聞いてもいい?」

「……うん」

あんなにも一生懸命に私を助けてくれたあけちゃんに、本当のことを隠す必要なんてどこにもない。

「何であいつと一緒にいたの?」

「実はね、会社で新しい企画が始まったの」

「うん? それとあの人、何の関係があるの?」

「その企画、来年のワールドカップの日本選手団のツアーコンダクトなんだぁ……」

「……え?」

「サッカーのA代表の航空チケットとか宿泊地を手配したり、現地のコーディネーターとの間に入って連絡を伝えたり、」

「……」

「ようは、旅行関係のお世話係みたいなもん?」

だいぶ落ち着いた私は、淡々と事実だけを口にして、それに合わせてあけちゃんの表情が驚きの表情に変わっていく。

「でもっ!! あの人、ユースの広報でしょ!? 何の関係があるの!?」

「去年からA代表の、サブマネージャーになったって」

「……」

何も言わず、見開いた目で私を見つめるあけちゃんに、思わず力の抜けた笑顔を向けた。

「一緒に……仕事するの?」

「うん。一回断ろうとしたんだけど、却下されたし」

「……大丈夫なの?」

「わかんない」

まさか、もう会うことはないと思っていた人に遭遇して、それを現実として受け止めきれていないせいか。

“わからない”

それが、正直な気持ち。

そこまで言うと、私は溜め息を一つ吐き出した。

「でも、航太はA代表に入ってないし……逢うことはないから、多分平気」

「……」

「そんな泣きそうな顔しないでよ」

目の前で話を聞くあけちゃんは、驚きの表情から、今度は今にも泣きそうな顔に変わっていて。

そのハの字の眉に、つい吹き出してしまった。