「ちょっと美青!! “また後日”ってどーいう事!?」
ツカツカと歩き続ける私に向かって、腕を掴まれたままのあけちゃんが声を上げる。
「……」
「美青ってば!!……ぶっ!!」
急に立ち止まった私に“ボフッ”っとぶつかったあけちゃんは変な声を上げながら、その顎を押さえた。
「痛ったぁーい!! 急に止まらないでよ!」
「あけちゃん」
「んー?」
「今日仕事は?」
「今日は休み。で、買い物してたら泣いてる美青見かけて……」
「……そっか」
少し考え込んだ後、あけちゃんに“ちょっと待ってて”と声をかけ、カバンから社用のスマホを取り出した。
「――お疲れ様です、佐々木です。……はい、大丈夫です。会議は無事終了しました。……はい」
淡々とした口調で、電話口の同僚に話をする私を、あけちゃんは顔をしかめながら眺めている。
そりゃそうか。
だって、意味がわからないよね。
「それで、申し訳ないのですが……途中で体調が悪くなってしまって。……はい」
――今日はもう仕事には戻れない。
そう思って、会社に電話をかけ午後休を取ったんだ。
電話を終えてあけちゃんを振り返ると、ちょっと驚いた顔をしていたけど、
「しょうがないなぁ! 付き合ってやるか!」
私の気持ちにすぐに気が付いて、そう言って笑うと、通話を終えたスマホを握りしめたままの私の手を取って歩き出した。

