「大好きなのに……。自分から別れを切り出した美青が、どんなに辛かったか、アンタ考えることもできないの!?」
睨みつけながら怒鳴り散らすあけちゃんに、宮崎さんは苦しそうに顔を歪ませたまま何も反論をしない。
それがきっと、あけちゃんの怒りをますます大きくしていて……。
「ホントいい加減に……っ」
「あけちゃん、違う。……違うから」
「……え?」
「もう大丈夫だから」
「でも、」
やっと声を出すことのできた私は、納得のいかない様子のあけちゃんから、宮崎さんに視線を移して、一度大きく深呼吸をした。
そして、できるだけ静かに声をかけたんだ。
「宮崎さん。私は、仕事に私情を挟むつもりはありません」
「……」
「彼にお話をするか、しないかは……ご自身で判断して下さい」
「……」
「ただ、私はもう彼に関わることもないと思いますし、そのつもりもありません。ですから、私は話す必要はないと思っています」
ゆっくりとそう告げると、宮崎さんは一瞬目を伏せて、
「わかった」
静かにそう呟いて、頷いた。
「お話は終わりですよね? すみませんが、私はこれで失礼します」
「……あぁ」
「それではまた後日、よろしくお願い致します」
鞄とテーブルに置かれた伝票を持って立ち上がった私は、宮崎さんに声をかけられる前に、納得がいかない顔をしたままのあけちゃんの腕を引いて、喫茶店を後にした。

