きせき


「こんな風に、この仕事で会うことになるとは想像も出来なかったよ」

近くの喫茶店で、頼んだコーヒーの湯気の向こう……。

揺れる宮崎さんの姿を、どこか合わない焦点のまま、ボーっと眺めていた。

「そうですね」

動揺を悟られないようにと口から出る私の言葉は、意識していないのに、どこか冷たいものになってしまう。

「……っ」

ゆっくりと正面の宮崎さんに視線を向けると、彼が一瞬息を呑んだのがわかった。

今まではそんなこと意識したこともなかったのに――……

この人は、やっぱり航太の兄なんだ。

その顔に、

その声や仕草に、

嫌でも航太を思い出してしまう。

ただそれだけのことなのに、胸が苦しい。

「それで、お話というのは?」

感情を表に出さない私に、驚いたようにその瞳を少し大きくした後、宮崎さんは細く息を吐き出して。

ゆっくりと話を始める。

「美青ちゃん、君と一緒に仕事をすることを……俺は航太に話そうと思ってる」

「……」

「隠していても、それは時間の問題で……。どこかしらで、あいつの耳にも入るだろう」

私の瞳の奥を覗き込むように視線を合わせた宮崎さんは、

「それに対する美青ちゃんの考えを聞きたい。美青ちゃんが嫌なら、俺は話さないつもりだ」

静かに、そう告げた。

「……」

なに、それ。

そんなの知らない。

今更私の気持ちを優先しようとする、宮崎さんの意図がわからない。

あの時は、私の気持ちなんてお構いなしだったくせに……。

「――……っ」

鼻の奥がツンとして、涙が滲みそうになる。