きせき


――この声。

思わず、振り返ったその先には……。

「おぉ、宮崎君。忙しい時に急に呼び出して悪かったな」

「いえいえ、会長の人使いの荒さには慣れていますから」

なんで……。

なんで、こんな所に?

「おぉ、そうだ……宮崎君! こちら、M·Kツーリストの佐々木さんだ」

私の方へその大きな手を向けた会長の言葉は聞こえているのに、上手く反応をすることができない。

「佐々木……さん?」

目の前のその人の、さっきまで会長に向けられていた人懐こい笑顔が、驚きと戸惑いの入り混じった表情に変わる。

目が合って、何か話さないとと思うのに……。

言葉なんか浮かんでこない。

さっきからずっと、

“なんで?”

そればかりが、私の頭の中をぐるぐる廻る。

「ん? どうした、宮崎君」

何も知るはずのない会長が、呑気にその人に声をかける。

「いえ、ちょっと知り合いだったものですから……」

「おぉ、そうなのか! それなら仕事もやりやすいかな? しばらく一緒に仕事をするチームだからな」

“それはよかった!”

そう言った会長の言葉は、頭の中にぼんやりと響いて……。

「久しぶりだね。……美青ちゃん」

ほんの少しの笑みを浮かべて、そう話しかけるのは――……

宮崎翔太。

“お兄さん”

航太の、お兄さん。