きせき


「はぁー……。ありえない」

大きな溜息を吐きながら、廊下をポテポテ歩く。

会社の命令に、私的感情を入れている私が間違えているのはよく分かっている。

でも――……。

“協会”と、そう言った常務の言葉と、あの時、航太のお兄さんに言われた“上”という言葉が頭の中をグルグル廻る。

お兄さんが“上”と言ったのは、サッカー協会のことで……。

“上から、航太と美青ちゃんを別れさせるよう……言われている”

――その言葉が、いつまでも私の心に重い影を落としているんだ。

ユースとA代表じゃ、中身は違うのかもしれないけれど、やっぱり嫌な感情が胸をモヤモヤさせる。

「どうしよう」

そんなことを呟いてはみたものの、断ることが出来ないのは嫌という程わかっていて。

「あー……、既に胃痛」

またしばらくは、妖精さんを葬り去る日々を覚悟した。