きせき


そんな俺の様子に気付かない美月さんは、まだ話を続けるつもりみたいで。

“もういい”

そう言いたかったのに。

それに反して、美青の“今”を知りたいと思っている、馬鹿みたいな俺がいる。

「おねぇー、今一人暮らししてるんだ」

「……そうなんですか」

「うん。会社の近くのマンションで。だから、バウの散歩は強制的に私の仕事に。まぁ、暇な大学生だからいいけどねー」

そう言って少し屈み、バウの頭を撫でる美月さんは――……

やっぱり、美青に似ている。

「なんで、」

「え?」

急に話しかけた俺に、美月さんは少し驚いたように、その瞳を上げた。

「なんで、俺が美青のことを嫌いになったって思ったんですか?」

美青と重なるその姿に、気付けばそんな言葉を口にしていたんだ。

「ん~」

俺の質問に、美月さんは少し考え込んで。

「こないだ、おねぇーの部屋に遊びに行ったの」

「……」

「ちょうどその時、航太クンの試合テレビでやっててさぁ」

「俺の?」

「うん。よくわかんないけど、普通別れた男のそういうのって観たくないじゃん。だから、私チャンネル変えようとしたの。でも――……」

そこで小さく間を取った美月さんは、淋しそうな笑顔を俺に向けて笑った。

「“そのままにしといて”って」

「……っ」

「せっかく私が新しい彼のノロケ話してるのにさ、おねぇーずっと上の空で、航太クンの試合観てたんだよ」

――美青、どうして。