きせき


何でこんなとこ来てんだ、俺。

「はぁー……」

また大きな溜め息がこぼれる。

後藤さんと話をしたせいか、いつもはここまで思い出さないあいつのことを、ついつい考えてしまう。

そして、何を血迷ったか……。

俺はそのままの足で、あの河原に向かっていた。

ここであいつに初めて逢ったのが、5年前。

あの男と、別れた日だった。

「もう2年か。そりゃ変わるよな……」

――美青と別れて、もう2年。

あれから一度も訪れることのなかったこの河原は、いつの間にか河岸がコンクリートで固められ、すっかり様変わりして立派になっていた。

「これじゃー、バウも駆け下りられねぇな」

あの時のことを思い出して、ほんの少しだけ笑いがもれる。

それと同時に、胸に何か重たいものが沈んでいく感覚。

美青とのことを思い出すと、いつもそうだ。

あの頃よりは少し薄くなっている、美青を許せないと思う心と、何でもっと冷静になれなかったのかと自分を責める気持ちで、胸が苦しくなる。

あの時のあの美青の言葉は、本心だったのだろうか?

今となってはもう確かめることはできないけど、未だに未練がましくその疑問をずっと抱き続けてる俺は、相当しつこいヤツなのかも。

美青を許せない気持ちと信じる気持ちが、今でも心の中で渦巻いている。

「もういい加減、忘れろってなぁ」

すっかり変わってしまったその川の水面《みなも》に、ポツリと言葉を落とした。