きせき



「ふー……」

試合後のロッカールーム。

シャワーを浴び終わった俺は、ドッと押し寄せる疲れを振り払うように、頭を振った。

「おー、航太! お疲れ!」
「後藤さん、お疲れ様です」
「今日もいい試合で良かったなー。サポーターも、すっげー盛り上がってたしな!」
「そうっすねー」

高校を卒業すると同時に、俺は前々からスカウトを受けていた、Jリーグのチームに入った。

A代表から落とされた俺を変わらず評価してくれたこのチームのために、少しでも頑張りたくて。

ただガムシャラに突き進んで、なんとか食らいついているのが現状。

「それにしてもお前、相変わらず上がり速いよな~。追いつけねーよ!」
「え……っ、スイマセン!! 合わせにくいですか?」

「いやいや、ちげーよ! 褒めてんだよ。あれはうちのチームの、いい武器になってる」
「……マジっすか。それならよかったです」

ホッと胸を撫で下ろした俺をチラっと見た後、後藤さんは楽しそうに話し続ける。

「得点王も確実だしな! 今年は俺も狙おうと思ってたのに!!」
「てか後藤さん、俺が高校生の頃にまだ練習生で参加させてもらってた時から、それ言ってますよね?」
「うるせーよ! FWなら常に狙うもんだろーが!」

そう言って、いつものようにガハガハとデカい声で笑う。

――俺はこの人のこういう人柄に、すげー助けられている。

「そういや後藤さん、今日奥さんと子供さん来てたんですよね?」
「おぉ、そうなんだよ!! この前の試合に来る予定だったんだけど、息子がどっかで風邪もらってきたみたいでさー」

この人は、家族を本当に大切にする人なんだ。

「でも、今日の試合で良かったよ。ゴール決めたとこ、見せられたしな」

いつも同じポジションの俺を、弟のように可愛がってくれる、7歳年上でFW《フォワード》の後藤 直哉は、そう言って嬉しそうに笑った。

「後藤さんの子供さん、今4歳でしたっけ?」
「おー、来月5歳になるよ」
「そっかぁ……。早いっすね~。俺がこのチームに来た時は、まだトテトテ~って感じで走ってたのに」
「そうだったな。お前もここに来て2年か。早いなぁ」
「子供かぁ……。いいっすねー。かわいいんだろうなー」