きせき


「……っ」

何か言わないと……。

このままだと、本当のことを話してしまう。

――航太の未来を、私が潰してしまう。

頭の中は混乱したままで、上手く言葉を選んでいる余裕さえなかった。

とにかく嘘を見破られないようにと、震えを必死で抑えて。

私の口をついて出た言葉は――……

「だって、こんな有名人とエッチできるチャンスなんて、もうそうそうないでしょ?」

そんな最低な言葉だった。

「な……に?」

「これから航太が有名になればなるほど、自慢になるじゃん。あの宮崎航太とエッチしたことあるんだよ~って」

「……お前、何言ってるかわかってんの?」

「だって航太って、すごい人気あるんだよ? 自分ではあんまり自覚ないかも――……っ!!」

バンッ―――……!!

ヘラヘラと笑う私の背後の、雨に濡れる窓ガラスに投げつけられた雑誌が……

足元にバサバサと音を立てて落ちた。

「出てけよ」

「……っ」

今まで私に向けられたことのない、怒りに満ちた航太の瞳に思わず息を呑み、全身がカタカタと小さく震えだす。

「聞こえなかった?」

スッと私の前に一歩踏み出した航太は、抑揚もない、感情も含まない声で――……

「出てけよ。で、もう二度と俺の前に顔見せんな」

静かにそう告げた。