きせき


その言葉が静かな部屋に響いた瞬間の航太の顔は、きっと一生忘れられない。

いつもキラキラしていた、私の大好きな瞳が色を失った瞬間を、私は見た。

俯き、髪をクシャリと掴んだ航太。

もうその柔らかい髪の毛に、指を絡めることもできないんだ。

「ごめん」

ドクン。

「俺、何してんだろうな……」

ドクン。

「一番大事なもの、蔑《ないがしろ》にしてた」

ドクン――……。

「ごめんな、美青」

謝らないで。

「なぁ、美青?」

「……」

静かに私の名前を呼んだ航太の声に、ゆっくりと顔を上げる。

「でも俺、どうしても腑に落ちないことがあるんだけど」

――“腑に落ちないこと”?

「な……に?」

知らぬ間にカラカラになっていた喉からしぼり出される声は、自分でも驚くくらいに掠れている。

そんな私に、航太は言ったんだ。

「何で俺に抱かれた?」

「……」

「何で……あんなに愛おしそうに、俺の名前を呼べた?」

――そんなの決まってる。

“だって、愛してるから”

そう言いたい気持ちを、必死で押し殺すことしかできない……嘘吐きな私。

「美青は、そんな気持ちで男とヤれるような女じゃないと思うけど?」

まだ私の言葉を疑うような航太の瞳が、私を捉える。