きせき


「航太には、このことは言わないで下さい。私の意志で別れたと思わないと、航太は絶対に離れないから……」

きっと私のことが嫌いにならないと、航太は離れない。

「……美青ちゃん」

「一週間だけ、時間をください」

「……」

立ち尽くすお兄さんに、一生懸命作った笑顔でそう話しかける。

「一週間したら、私はアメリカに行きます」

「美青? ねぇ、ダメだよ……っ」

ごめんね、あけちゃん。
でも、こうしないとダメなんだと思う。

「それまでに、航太と――……」

“別れます”
そう言いたかったのに、どうしても、その言葉を口にすることができなかった。

その後のことは、正直なところ、もうよく覚えていない。

あけちゃんが泣いていて、お兄さんが下を向いて立ち尽くしていたのは、ぼんやりとした視界に映っていた。

だけど、もう何も考えられなかったんだ。

何も考えられない頭の中で、何度も何度も日にちを数え直して、確認して。

出てくる答えは、やっぱり同じ。

私と航太が一緒に歩ける残りの時間は――……

あと一週間。

それだけが、私たちに残された幸せな時間。