きせき


小さく息を吐き出したお兄さんは、きっとあけちゃんがどんな性格の子なのかを、一瞬で理解したんだと思う。

「そうだね。宮本さんもここにいてくれて構わない。……ただ、できれば口は出さないで欲しい」
「……わかりました」

いつもとはやっぱり全然違う表情のお兄さんは、ゆっくりと私に向き直り、静かにその話し始めたんだ。

「美青ちゃん、俺は君が大好きだっていうことだけは忘れないで聞いて欲しい」
「……はい」

「俺は……航太の兄だ」
「……」

「航太の兄であると同時に、このチームの人間だ」

顔を顰《しか》め、苦しそうに言葉を繋げていく。

「航太を……ここで潰すわけにいかないんだ」

わかってる。
そんなの、わかってるよ。

しぼり出されるお兄さんの声は、すごく苦しそうで。

私は――……

わかってしまった。

お兄さんがこれから、私に何を告げようとしているのか。

それに気づいてしまった。

気付いた瞬間、涙がボロボロこぼれ始めて……。

それが、知らぬ間にガーゼが当てられていた頬を伝い落ちる。

「……本当にごめん、美青ちゃん」

「ちょっと!!……それどういう意味よっ!?」

声を荒げたあけちゃんの手をギュッと握った私は、

「はい」

お兄さんを見つめながら、静かに返事をした。

だけど、視界が滲んで、お兄さんの顔はよく見えない。

それに、何だかすごく頭が痛い。

「ごめん、美青ちゃん――……」

そう呟いたお兄さんの声は、少し震えていて……。

それを聞いている私の胸の辺りは、さっきからずっとギリギリと痛んだまま。

お兄さんにそんな想いをさせてしまっていることに、心がひどく痛んだんだ――……。