きせき


――何だろう……。

すごく気持ちがいい。

私の頭を優しく撫でる温かい手のひらに、トクントクンと心臓が優しい音を立て始める。

「……」

閉じていた瞼の裏が、だんだんと明るくなっていって、私はゆっくりと瞳をひらいた。

「……美青?」

だけど、その真っ白な空間は、すごく眩しくて。

ぼんやりとして焦点が合わない瞳に、ユニフォームを着たままの航太の心配そうな顔が映った。

「こう……た?」

「美青!? 気付いたの!?」

航太の隣には、真っ青な顔をしたあけちゃん。

その後ろには、白衣を着た男の人と、何人かの会場スタッフらしき人と話をするお兄さんの姿も見える。

「ここ、どこ?」

「医務室だよ、美青ちゃん」

そう答えたのは、なんだかいつもと様子が違うお兄さんで……。

「私、どうしたの?」

横になっていた真っ白なベッドから起き上がろうとした。

「――……っ!!」

だけど、上半身を起こしただけで、腕や背中に激痛が走って。
そのあまりの痛みに、短い呼吸が漏れる。

「……」

そうだ。
私は、階段から……突き落とされたんだ。

その恐怖を思い出して、全身に一気に鳥肌が立つ。