きせき

せっかく楽しみにしていた試合だったのに……。

どこかボーっとした頭のままそれを観戦した私は、試合が終わったあと、あけちゃんのトイレを待ちながら、洗面台で手を洗っていた。

いつも航太の試合を観終わったあとは、本当にワクワクして、楽しい気分のはずなのに……。

「はぁー……」

自然と漏れてしまった溜め息に視線を上げると、後ろからキャーキャーと、航太の名前を口にしながら話す集団が入って来るのが鏡に映った。

「……」

――あの集団だ。


「……あ」

そのうちの一人が私に気付き、小さく声を上げ……他の女の子に小声で耳打ちをして、クスクスと笑う。

ホント、何がしたいんだろう。

ウンザリして、無視を決め込んでいると、

「あのぉー、」

集団の中の一人が、話しかけて来た。

「はい?」
「あなた、航太クンの彼女なんですよね?」

「……」

答えるべきか否か。

悩んでいる私を気にとめることもなく、勝手に話を進める。

「前から思ってたんですけどぉ、あなた高校生とかじゃないですよねー? 友達が、H駅らへんのオフィス街で働いてるの、見たって言ってたんですけど」
「あなたにそれを話す必要はあるのかな?」
「必要ってゆーか……何歳なんですか?」

きっと、こんなことを話していても埒が明かない。

「ごめんなさい。一体なにが言いたいの?」

思わず漏れた溜め息のあと、静かにそう尋ねた。