きせき


それから少し時間が経って……。

航太のA代表として出場する初めての試合のチケットを貰った私は、相変わらずなあけちゃんと一緒に、その試合を観戦していた。

前半の途中から交代出場した航太は、初めての代表戦とは思えないくらい伸び伸びと、とても楽しそうにプレーをしている。

「ホント、大物だね~」
「……ね。何か変な感じ」

「奥様としては鼻が高いんじゃないの~?」
「奥さんってねぇ、そんなんじゃないから」

私の不貞腐れた顔を見て、ケタケタと笑うあけちゃんの肩の辺りをバシッと叩いた私の耳に、

「あっ!!」

後ろから、驚いたような大きな声が聞こえた。

……え?

声につられるように、後ろを振り向くと――……。

バシャッッ!!

「っつ……めた……」

一瞬、何が起こったのかわからなかった私は、あけちゃんの“大丈夫!? ちょっと、何してんのよ!!”という声でハッとした。

真後ろを通った女の子が、持っていたコップを落としたみたいで……。

髪の毛から、水のようなものがポタポタと流れ落ちている。