「――というわけなので、少し周りが騒がしくなるかもしれません」
「なるほど。……そうか」
昨日の時点で、私が聞いたのはここまでで……。
少し考え込むような顔をしたお父さんに、航太がまた口を開いたから、驚いて隣の航太に視線を移す。
だけど航太は、私に視線を向けることなく、お父さんをじっと見据えたまま。
「美青さんや、美青さんのお父さんやお母さん、妹さんには迷惑をかけないように十分注意します」
「……」
「それに、環境が変わろうと、僕は変わるつもりは全くありません。これからもずっと美青さんと一緒にいたいと思っています」
“ですが”そう付け足して、一呼吸おいた航太は――……
「それは、僕の勝手な考えです。ですから、今日はそれに対してどう思われるかをお聞きしたくて、伺いました」
最後に、そんな言葉を口にした。
……航太。
航太がここまで考えていてくれたことに、驚きと喜びを感じた。
私は、本当に幸せ者だと思う。
「……」
胸がギュッとなる私の目の前で、少し考え込むように、間を取ったお父さん。
「宮崎君」
「はい」
さっきまでの声よりも、少しトーンを落とした声は、私の心臓をまた変に緊張させる。
「正直な気持ちとしては、いついろんな人間の目に晒されるかわからない環境に、娘を置きたくない……そういう思いがある」
「はい」
お父さんの言葉で、瞳の端に映る、航太の膝の上で組まれた手に、グッと力が入るのがわかった。
「だけどね、宮崎君」
「……」
「君のその真っ直ぐな瞳を見ていると、そんな心配は吹っ飛んでしまうんだ。……私の娘は、いい男を捕まえたな」
そう言って、それまでの雰囲気を一変させて、ニヤリと笑ったお父さん。
「娘を、これからもよろしく頼むよ」
脱力する私の目の前で、航太はやっぱりお父さんを真っ直ぐ見つめたまま。
「はい。絶対に傷付けるようなことはしません」
そう話す航太に、お父さんは満足したように“うんうん”と頷いた。

