きせき


お母さんの出してくれた紅茶に、小さく頭を下げた航太は、すすめられたそれに口を付けると、一つ長い息を吐き出して。

“あまりお時間を頂くのも申し訳ないので”と、昨日私に話してくれた話題を切り出したんだ。

「今日は、ご挨拶と……少し話したいことがあって、お伺いしました」
「“話”かい?」
「はい。実は……」

さっきよりも、少しだけ緊張感が増した気がするリビングの空気。

私にまでその緊張が伝わって、ゴクリと息を呑んだ瞬間、

「ちょっと!! おねぇーの彼氏来たの!?」

ドアを開ける、バーーンというド派手な音と共に……美月が現れた。

「ちょっと美月!! あんたうるさい! もうちょっと静かに――……」

美月を注意しようと、彼女の方を振り返ると、

「うっそでしょーーー!! えっ!? 何でっ!? 何でうちに航太クンいるの!? 何で!?」

相当なパニックに陥った“ミーハー美月”の姿が、私の目に映ったんだ。

そのあまりの勢いに、時間が止まったお父さんと航太。

そして、額に手を当て、大きくため息を吐いた私。

「もー、美月! 宮崎さんビックリしてるでしょう?」

唯一普通だったのは、やっぱりお母さんで……。

未だに“何で!?”を連呼する美月に、そう話しかける。

「だって、あの航太クンだよ!? サッカーの!! 航太クンだよ!?」

お母さんの反応に“信じられない”と言わんばかりの表情を浮かべる彼女の言葉に、思いもよらない言葉を口にしたのはお父さんだった。