カチャリとリビングのドアを開けると、ソファーには新聞を読むお父さんの姿があった。
「お父さん! 美青の彼、来たわよ~」
明らかに浮かれているお母さんの言葉に反応したお父さんは、読んでいた新聞を畳むと、立ち上がって、航太に向き直る。
「初めまして。美青さんとお付き合いさせていただいています、宮崎と申します。今日は突然お伺いして申し訳ありません」
頭を下げた航太の隣で、私はいつも通りのお父さんの反応を期待していたんだけど……。
「……」
――あれ?
お父さんは、なぜか無言で航太を見つめたまま。
「お、お父さん?」
「キミ、いや、宮崎君」
「は……い」
リビングに、急に重々しい空気が立ち込める。
まさか……本当に“駆け落ち貯金”しないといけない?
ゴクリと息を呑む私の目の前で、お父さんの口がまたゆっくりと動き出して……。
「デカイなぁ」
「は……い?」
「いや~、背がずいぶん大きいんだな!! 美青と並んでいるから、ますます大きく見えるのかな?」
そんな人を軽くバカにしたような発言をして“いや~、ガタイもいいなぁ~!”と、航太の肩の辺りをバシバシ叩き始めた。
やっぱりこんな時でも、お父さんはお父さんだった……。
「はぁー……」
相変わらずすっ呆けながら、全くもって頓珍漢な発言をするお父さんに、思わず溜め息がもれる。
「お父さんっ!! 航太、困ってるじゃん!」
「おー! そうか!? それはすまなかったねー。まぁ、座って座って!」
「あ、りがとうございます。失礼します」
ちょっと気後れする航太をよそに、お父さんは“まぁ、そんなに緊張しないで!!”と、やっぱり楽しそうに声をかける。

