「あ~、美青! ちょいまち!!」
「もー! 別にそんなに緊張しなくていいから!」
「バカ……お前、緊張するに決まってんじゃねーかよ!!」
「……」
だって、相手はあのお父さんとお母さんなのに……。
“バカ”とかって、失礼な。
まぁ、航太はうちの親がどんな親か知らないから、こんな風に緊張しちゃうのかもしれないけど。
「どうすんだよ、俺が美青の父ちゃんに“お前のような不届き者と美青の交際は認めん!!”とか言われたらよー……」
17の男の想像とは思えない、その昭和な妄想に、ついつい笑ってしまう。
申し訳ないけど、普段飄々としている分、その様子がおかしくて仕方がない。
「あ、そうだ! うちのお父さん、空手やってるから気を付けてね」
「……マジでか」
「ん? ウソ」
「……」
「睨んでも怖くないも~ん」
「……あとで覚えとけよ」
「あははっ! でも大丈夫。お父さん、優しいから! それに、もし万が一反対されたら……駆け落ちしてやるっ!!」
私の言葉に、その表情を緩めた航太は、
「それは頼もしいねー。じゃー今から駆け落ち資金貯めとかなきゃな」
やっといつもみたいに、楽しそうに笑った。

