きせき


「なー、美青ー……」
「ん~?」

久々の二人揃っての休前日。

私は航太のマンションにいた。

「今度さ、美青の家行きたいんだけど」
「え? うち? なんでまた、急に」

手元の雑誌から視線を上げた私に、航太は少しだけ困ったように笑った。

「実はさ……、今度のA代表の試合に招集されたんだ」
「えっ!! うそっ!! ホントに!?」

“らしいぞ~”なんて、まるで他人事のような航太をよそに、私は“すごい!!”を連発して大はしゃぎする。

だけど、目の前の航太は、相変わらず困ったような笑顔のままで。

「でさ、多分……周りがちょっとうるさくなる」

あぁ……そうか。

今でもかなり話題になっている航太が、A代表に選ばれたとなれば……。

今以上に、周りが騒ぐのは容易に予想ができる。

「……そっか」

「だから、その前に美青の家に行って、ちゃんと挨拶しておきたいと思って」

――挨拶?

「誰に?」
「んー? 美青の両親とか、家族?」

自分で言ったくせに、なぜか疑問形で返してきた航太に、私もつい首を傾げてしまう。