きせき


「今日、誕生日だったの?」
「おー」
「……」
「ん? どした?」

“どうした”じゃないよ!!

「プレゼント!!」
「え?」

「なにも用意してないよ? ケーキだって……」
「……」

「なんでちゃんと言ってくれなかったの?」

しょんぼりとした声を出して、その横にペタンと手を付いた私に向けられるのは、いつもの彼の柔らかい視線で。

「美青?」
「……うん」

「もう十分。美青もらっちゃったし」
「な……っ!!」

だけど次の瞬間、それをフッと細め、口角を上げて、からかうように笑う。

「ちょっ、変なこと言わないでよ!!」

なぜか無意味にその辺にあった毛布を手繰り寄せ、それを自分の体に巻きつけた私の耳に、航太はその唇をそっと近づけた。

「美青、可愛かったなぁ」

「……はっ!? 最悪!!」

「くくくっ」

この……クソガキ!!

いつもそう!!

いつもこの子は、こうやって人のことをからかって……。

「あんな可愛い言葉、言ってくれると思わなかった」

「……っ!!」

――あったまきた。

「……は!? おい美青、何だよ!!」

「いつもからかう仕返し!!」

無意識のうちに、身を守ろうと手繰り寄せたのかもしれない毛布を、航太の頭にバサッとかけて。

「航太のばーか!! 私だって、やられっぱなしで黙ってないんだからっ!!」

ぐるぐる巻きにして、ちょっとはしたないけど、倒れ込んだままのその体の上に乗っかってやった!!