きせき

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「美青、髪くすぐったい」

まだ少しだけ呼吸が乱れている私の耳に、航太の少し笑ったような柔らかい声が聞こえて顔を上げた。

毛布にくるまり横になる私は、航太の胸に頬を寄せたままだったから……。

だけど見上げた先の航太は、それを特に嫌がる様子もなく、私の頭のてっぺんに、チュッと短いキスを落として。

「美青」

その目を細めて、私の名前を呼んだ。

「……うん?」

この柔らかい声は、さっきまで私を抱いていた航太の声とは全然違う。

そのギャップに、また胸がドキンと音を立ててしまう。

「俺、まだガキだけどさ」
「え?」

「高校卒業したら、プロになるから。だから……俺の隣にいて」
「……」

「まだちゃんと約束とかはできないけど、美青がいないのって想像できない」

――航太。

私と目が合った瞬間、ちょっと恥ずかしそうに腕を頭に乗せて顔を隠した航太は、やっぱりいつもの航太。

「うん。……てゆーか、離れるのなんて無理だし」
「……」

「そうだよね。航太、16歳かぁ。そんなこと、スッカリ忘れてた」

この人が16歳で、まだ高校生だなんて信じられない。

いつも人のことを翻弄して、こんなにも魅了する。

「ん? どうしたの?」

クスクスと笑う私の言葉に、少しだけその目を細めた航太は、私の体を抱きしめる腕に力を込めて、どこかにチラッと視線を走らせた。

「実はもうすぐ、17歳」
「……え?」

「もう17、かな? って言っても、たいして変わんねーけど」
「い……つ?」

だって、それって――……。

サイドボードの時計の針が指していたのは、ちょうど夜中の12時。

「ん?」

「……誕生日」

慌ててその腕の中から飛び起きた私がそう聞くと、航太は優しく笑って、

「たった今」

また私に、優しいキスをした。