きせき


「でた……よ」

リビングに戻ると、高級感あふれる、革張りであろう黒いソファーの上に寝っ転がりながら、雑誌を読んでいた航太が顔を上げた。

「くくくっ!」

「笑わないでっ!! わかってるもん。何も言わないでっ!!」

「だって美青……」

「わかってる! どうせちっちゃいもん!!」

航太が用意してくれたのは、グレーのスウェット。

それは、身長155センチの私にはどうしたって大きくて、パタパタ出来ちゃうくらい袖も長い。

そんな私を見て“ペンギンみてー”と笑って、立ち上がった航太。

「冷蔵庫の中のものとか、勝手に飲み食いしていいから」

そのまま不貞腐れる私に、テレビのリモコンをポーンと投げてよこし……。

“シャワー浴びてくるわー”と、リビングの扉を開けて出て行った。