きせき


その場に立ち尽くして、ポカーンとする私の元に一度戻って来た航太は、“変な顔になってるけど”と、いつものように笑って。

眉間にシワを寄せた私の手を掴むと、引きずるようにキッチンに連行した。

「……」

な……によ。

私ばっかりドキドキしてバカみたいじゃん!!

包丁を握る手に、思わず力がこもる。

それなのに航太は、やっぱり呑気に鼻歌なんか歌ってて!!

ホント信じられない!!

プリプリしながらゴハンを作って、
プリプリしながらゴハンを食べて。

「はぁ~……、旨かったぁ!」

プリプリしながら満足そうにそう言って、お腹をポンポンと叩いた航太を見つめる。

「ごちそーさま!」

そんな私のプリプリに気付かないのか、意外にもお行儀よくあいさつをした航太は、そのまま立ち上がると、食器を流しに運んで行った。

その様子をジトッと眺める私はというと、

「……お粗末さまでした」

ちょっと不貞腐れてそう返す。

自分では知らなかったんだけど、私はどうやら意外と根に持つタイプだったようで……。

「はぁー……」

そんな自分に、大きな溜め息がもれる。

せっかく航太が試合で頑張ったのに、こんな態度良くないよね。

それは、わかってるんだけど……。