緩みそうな頬を押さえながら、航太にお店の名前を告げて電話を切った。
「航太君なんだって?」
「終わったから今から来るって!」
「そっか! じゃー、航太君が来たら私帰るね~!」
「あ~、ごめんね。なんか付き合わせちゃって」
私が謝ると、あけちゃんは“全然! 有名人と電話できたし!!”と、なぜか握り拳を握って笑って……
「あ。これ、美青にあげるー」
何やら可愛らしい包みを私に差し出してくる。
「ん? 何これ?」
「まぁ、とりあえず受け取ってよ。後で何かに気付いたら開けて~」
そう言ったあけちゃんの表情は、まさに“満面の笑み”。
そこに、珍しく帽子を目深にかぶった航太が現れて、それが何なのかもわからないまま……。
あけちゃんは“じゃーねー! 頑張れよー!!”と、またワケのわからないことを言いながら、去って行ったんだ。
「“頑張れ”ってなんだろ?」
「……さぁ?」
横を向くと、ここにも怪しげな人がもう一人。
「航太?」
「……はい?」
「なにか隠してるでしょ?」
「……いいえ」
「ウソ!! 超怪しいもん!! 挙動不審だ!!」
「別に挙動不審とかじゃねーし」
「その帽子だって……ってゆーか、帽子、珍しいね」
「あ~。何かさぁ、最近よくわかんねーけど、色んな人に声かけられるようになってよー」
「変装?」
「まぁ……そんなもん」
「すごいね。すっかり有名人だ」
クスクス笑うと、航太は“マジ勘弁”と、心底げんなりした表情で溜め息をついた。

