「……もしもし? 航太?」
『おー、美青。あのさ、帰るまでもうちょっと時間かかるから、あけちゃんとどっかで時間潰しててもらっていい?』
「え? いいけど……あけちゃんと?」
『今お願いしたから』
そう言われて、あけちゃんに視線を移すと、“うんうん”と頷いていて。
「わかった」
『頼むな。終わったら電話するから!』
まだロッカールームかどこかにいたのか、航太の後ろで、チームメイトらしき人が彼を呼ぶ声がした。
『あー、呼ばれてるから行くわ』
「うん。じゃー、また後でね」
そう言って電話を切って、あけちゃんを見ると……怪しい。
明らかに怪しい顔をして笑っている。
「あけちゃん?」
「……はい?」
「航太、なんだって?」
「……別に? 時間潰しててって」
いつもは人の目をしっかりと見て話す子なのに、一向に目を合わせようとしないし。
これは絶対に怪しい!!
怪訝な顔で視線を向ける私から逃げるように、鼻歌なんか歌ったりして。
「あけちゃん?」
もう一度その名前を呼ぶと、“えへへ”と怪しい笑みを浮かべながら、私の腕を掴んだ。
「美青!! 私ちょうど買い物したかったの! 駅ビル付き合って!!」
「はっ!?」
「早く早く!! なくなっちゃう!!」
「え!? なにが!?」
「何って……えっと、まぁいいから!! ほら、ゴーゴー!!」
もー。
あけちゃんも航太も、ホントになんなのよ……。
絶対に嘘っぽい理由をつけたあけちゃんは、未だに納得のいっていない私を完全無視して歩き出したんだ。

