「さて。美青はこれからどうするの? 航太君のこと待ってる?」
引きずられるようにスタジアムを後にして、少し離れた場所まで来たところで、あけちゃんが振り返った。
「ん~、どうしようかな。何時になるかわからないし……っと、ごめんスマホが」
少し考え込んだ私の、ポケットの中のスマホが震え出したことに気付いてそれを取り出した。
液晶に表示されていたのは、航太の名前。
「あれ? 航太だ。ちょっとごめんね……」
あけちゃんに一言断りを入れてから、通話ボタンを押す。
「もしもし、航太? お疲れ様!」
『おー。疲れたよ~』
「すごかったね。ハットトリック!!」
『仲間がなー、丁度いいトコにパスくれた……って、その話は後でゆっくりするとして。美青、今どこにいる?』
「あ! もう外に出て、今あけちゃんと一緒にいるの」
『そっか。美青、ちょっとあけちゃんに代わってもらえる?』
「え? あけちゃん?」
『おー』
思わぬ航太のお願いに驚きながらも、スマホをあけちゃんに差し出す。
「え? 私?」
「うん。なんか航太が代わってて」
「え~!! 緊張するんだけど!!」
何故か手の汗を服で拭いたあけちゃんは、私のスマホを受け取って航太と話を始めた。
「もしもーし! 朱美だけど! おめでとー!! すごかったね~!……うん!」
「……」
おねぇさん、全然緊張してないじゃないですか。
「うん、うん。……え? マジで!? うんうん。あはははっ!!」
しかも、何故かものすごく楽しそうに大笑いしているあけちゃんは、
「いいよいいよ! 任しといて~! 頑張れ青年!! 健闘を祈る!!」
そんな謎のエールを試合後の航太に送ったあと……
「じゃー美青に変わるね~」
無駄にニコニコしながら、ホイっと私にスマホを返した。

