きせき


「ちょっとー……航太ぁ」

ヘナヘナと椅子に座り込んだ私の口からは、思いっきり力の抜けた声が漏れる。

だって私達の後ろには、黄色い声を上げた、あけちゃん曰く“ミーハー”な集団がいて、思いっきり見られてる。

――というか、多分睨まれている。

「あ、あけちゃん……どうしよう?」

後ろを振り向くことはできないけど、その殺気立った空気だけは感じ取れて……。
思わず、隣の呆れ顔のあけちゃんに助けを求める。

なのにあけちゃんは、

「知らん!! このバカップル!!」

助けてくれる様子もなく……。

「とりあえず外出よっ!!」

溜め息交じりにそう言って、私の腕を掴んで席を立った。

その間も、刺さるような視線は投げられ続けていて……怖すぎる。

――女の恨みは怖い。

正樹の時に、それは恐ろしいほど理解していた。