きせき


――貴重な休日。

宮崎航太の言った通り、空は晴れ渡り、雲ひとつない休日。

私は元・泥んこジャージの入った袋を抱え、スタジアムの入り口に立っていた。

大きな歓声が聞こえるスタジアムの中では、もう試合とやらが始まっているようで、入口は閑散としている。

「入り口で名前を言えばって言われたけど……誰に言えばいいの?」

そんなことをぽつりと呟きながら、とりあえず、入り口でチケットのチェックをしている係員の元へ向かった。

「あのー……」
「はい?」
「私、佐々木美青という者ですが……」
「はい」
「……」
「……」

やや怪訝そうな顔で、私の言葉の続きを待っている係員。

――もしや、伝わってないんじゃないか? 宮崎航太よ。

「宮崎航太サンに、入り口で名前を言うように言われたのですが」

そう告げると、急に笑顔になり、愛想が良くなった係員は「そうですか! 少々お待ち下さい!」と告げると、胸元のトランシーバーで、どこかに連絡を入れ始める。

「はい、そうです。佐々木美青様という方が。はい、はい……分かりました」

連絡が終わったらしいその人は、私に向き直り、

「東ゲートのA-1入口へお進みください。その先にいる係員が、お席までご案内致しますので」

にっこり笑うと「それでは」と、軽く頭を下げて、元の場所へと戻って行った。