きせき


航太と付き合って1ヶ月以上経った頃。
空はすっかり高くなり、冬の匂いがし始めていた。

「そう言えばね、もうすぐ大学の学祭なんだぁー」
「学祭?」
「うん、そう」
「へぇ~。なんかすんの?」
「仲いい友達と、喫茶店?的なものをやる……らしい」
「“らしい”ってなんだよ」

私の口ぶりに、ちょっと笑った航太。

「あけちゃんの彼氏周辺の人たちと、うちの友達でやるらしくてさぁ……。私はサボる気満々だったのに」
「……ふ~ん」

珍しく興味なさそうな航太の返事に、思わず彼の顔を覗き込む。

「どしたの? 私、変なこと言った?」
「いや、別に」

“別に”って……やっぱり何かおかしい。

「航太?」
「何でもないって」

覗き込む私の視線から逃げるように立ち上がると、“まぁ、頑張って!”と、言って……。

「寒くなってきたし、そろそろ帰ろう」

様子が変なまま、腑に落ちない私の手を引いて、歩き出したんだ。