きせき


次の週、試合に一緒に行ってくれたお礼をした後、あけちゃんに彼氏が出来たことを報告した。

「は?」

「だから……彼氏、出来た」

「はぁっ!?」

大きな声を出したあけちゃんに、ホールにいるみんなの視線が集まる。

「ちょっ!! 声!! 声でかいからっ!!!!」

「だって!!」

人の視線を気にもしないあけちゃんは、私の注意を無視して大声を上げる。

「だってアンタ! こないだ“いない”って!!」

「言った、けど」

「……やっぱり、あの人!? スーツの!?」

「ちっ、ちがう!! それは断じて違う!!」

「じゃー誰よ!!」

“誰よ”と聞かれることは覚悟の上だったけど、その名前を口にするとなると、やっぱり少し緊張してしまう。

「……」
「……」

私に詰め寄ったあけちゃんと、そのまましばらく、超至近距離で見つめ合う。

「絶対に……」
「え?」
「絶っっっ対に、大きな声出さないって約束して?」
「う、うん。わかった」

「宮崎……航太」
「……は?」

沈黙を挟んで、あけちゃんの大きな瞳が、ますます大きく見開かれる。

「だから、宮崎航太」
「……」
「……」

「はぁーーー!?」
「ちょっと!! あけちゃんっ!!」
「宮崎って、あの宮崎!? え!? こないだの!? こないだ試合してた、宮……もごっ!!」

案の定大きな声を上げたあけちゃんの口を、机越しに慌てて塞ぐ!!

「し~~~っ!!!! 声っ!! 声でかいってばっ!!」

周りの刺さるような視線を気にして、小声で怒鳴った私。

「手、離すよ?」

私に口を塞がれたまま、コクコクと頷くあけちゃん。

「ぷはっ……!! く、苦しい~!!」
「ごめん!! でも、あけちゃんがぁ~!!」
「だって、誰だってビックリするでしょう!?」

やっと少しだけ落ち着いたらしいあけちゃんは、今度は周りに聞こえないよう、小声でそう続けた。