「お……兄さん!」
「涙目になって、何してんの?」
「涙目になったのは、お兄さんのせいです……」
「あ、そうなの?」
この人は……相変わらず、すっとぼけている。
「中、入りたいの?」
「……はい」
「どうして?」
目の前で、まるで何かを探るように小首を傾げるお兄さん。
「彼に、宮崎航太に会いたいんですけど……」
「航太なら、まだ中にいるよ?」
「……そうですか」
――そう言って下を向いた瞬間。
私の首に、何かがパサリとかけられた。
「ここの入り口じゃなくて、関係者入り口から入って、突き当りを右に行くとグラウンドに入れるから」
胸元を見ると、首にかけられたのは“STAFF PASS”と書かれた関係者パス。
「俺はもう帰るから、帰りは航太に送ってもらってね」
「い、いいんですか?」
「美青ちゃんは特別ね。でも他言はしちゃダメ」
そう言って、形のいい唇に人差し指を当てると、にっこり笑って。
“じゃー、航太のことヨロシク”と、手をヒラヒラさせながら、いつの間にか後ろに停めてあった車に乗り込んで、本当に帰ってしまった。
「涙目になって、何してんの?」
「涙目になったのは、お兄さんのせいです……」
「あ、そうなの?」
この人は……相変わらず、すっとぼけている。
「中、入りたいの?」
「……はい」
「どうして?」
目の前で、まるで何かを探るように小首を傾げるお兄さん。
「彼に、宮崎航太に会いたいんですけど……」
「航太なら、まだ中にいるよ?」
「……そうですか」
――そう言って下を向いた瞬間。
私の首に、何かがパサリとかけられた。
「ここの入り口じゃなくて、関係者入り口から入って、突き当りを右に行くとグラウンドに入れるから」
胸元を見ると、首にかけられたのは“STAFF PASS”と書かれた関係者パス。
「俺はもう帰るから、帰りは航太に送ってもらってね」
「い、いいんですか?」
「美青ちゃんは特別ね。でも他言はしちゃダメ」
そう言って、形のいい唇に人差し指を当てると、にっこり笑って。
“じゃー、航太のことヨロシク”と、手をヒラヒラさせながら、いつの間にか後ろに停めてあった車に乗り込んで、本当に帰ってしまった。

