「毎回ではあるんだけどさ、アイツ、今回の試合は特に気合い入ってる気がするんだけど」
私より数十センチ高いところから、チラリと視線を落としたお兄さん。
その意味ありげな視線は……。
「ふっ。顔真っ赤だけど? 何かあったのかなぁ~……っと。まぁいっか」
その瞳からスッと視線を逸らしたら、また笑われた。
明らかに面白がられていることは悔しいけれど……。
彼なら、知っているだろうか。
「――あ、あのっ!」
話題を変えたかったのもそうだけれど、実はチケットを貰ったあの日から、ずっと気になっていたことがあった。
それを解決してもらおうと、思い切って口を開き、彼に声をかける。
「ん?」
「今回の相手って強いんですか?」
「相手? ランキングでは日本よりはかなり上かな?」
「そうなんですか……」
それを聞いて、ホッとしたような、ガッカリしたような。
とにかく何だか複雑な気持ちになる。
「……勝てると思いますか?」
そう聞くと、お兄さんは私の目をしっかり見据えて――
「少なくとも、航太は絶対勝つ気だと思うよ?」
「……」
「それはピッチでプレーする他の選手も俺達も同じ。だから美青ちゃんも、あいつのこと信じて応援してやって」
今度はさっきとは打って変わって、優しくふわりと笑った。

